微睡みの地平線

猫のヒゲ集めてます。

死にたいくらいに憧れた琵琶湖のコト。其の2

真夜中の駅に向けて自転車で俺は走り出した。途中で近所のTと待ち合わせしていた。酒屋の前で合流すると二人で駅に向かった。

まだ肌寒い3月。次第に体が冷えていくが気にならなかった。若い頃は意味もなく真夜中に外出することに対して異様にテンションが上がったものだ。

駅に向かう途中でAとMも合流した。皆、普段よりも格段に饒舌だった。これから始まる旅に希望をふくらませていた。

真夜中の1時すぎ、俺達は駅に集合した。最初の目的地は大垣だった。真夜中にも関わらずホームにはちらほらと人がいた。

目的の列車が到着し、俺達は乗り込んだ。が、列車の中は人が一杯だ。座る席など一つもなかった。今になって思えば青春18きっぷを利用して遠くに出掛ける人々だったのかもしれないが「青春18きっぷ」のはずなのだが、青春とは縁のなさそうな方々も多く見られた。

淡々と時間は過ぎ、壁にもたれて眠る者もいればテンション高く話続ける者もいた。列車が名古屋に到着すると混雑していた車内に少しだけ空きができた。すかさず席を確保する俺達。確保した席は、ほんのりと酒の匂いがした。

やがて、誰も話をしなくなった頃に最初の目的地、大垣に到着した。乗り換えのためにホームを駆ける。なんとか席を確保し、一安心した。

うつらうつらしながら差し込む朝日に起こされた。睡眠不足でけだるいはずなのだが、興奮であまり感じなかった。

そして車窓から遠くに光る広い水面が見えた。琵琶湖だ。

初めて見たときはまんま「海のようだ」としか思えなかった。琵琶湖が見えた事によりテンションが上がった俺達。

長い1日はまだ始まったばかりである。

其の3に続きます。